木造建築物の効果
木造建築物が人に与える影響と効果
木造建築物が人に与える影響として、その木造躯体の特性も踏まえまして、学校を例にとりご紹介致します。
「木造校舎による学習環境上の効果」
木造の特性
1.木が湿気を吸収し湿った感じがしない。
2.梅雨の時期でも湿気が少なく過ごしやすい。
3.木のぬくもりがあり、教室が明るく感じる。
4.温かく冬の暖房効果がいつまでも残る。
5.来客からも木の香りが良いといわれる。
安 全 性
1.木は衝撃を吸収し、コンクリートより安全。
2.怪我が少なくなった。
3.湿気で床がすべることなく怪我が減った。
4.廊下や床が温かく足腰にやさしい。
5.加工しやすく、修理が比較的容易。
情 操 面
1.校舎全体にやさしさが感じられる。
2.情操面で良い。生徒も精神的に落ち着くようだ。
3.ぬくもりが、人の思いやりや物を大切にする気持ちを育ててくれる。
4.物を大切にしようとする気持ちになり、落書きしない。
5.子供達が清掃を丁寧にやろうとする。
木造公共建築物工事に対する地域経済の効果についても、以下のような報告がありました。公立学校のモデル体育館(延床面積1185㎡)について、ご紹介致します。
「地場産業の活性化の効果の検討」
(屋根架構を木造又は鉄骨造とした場合の、過去の実績、設計単価等を基に試算、コスト比較を行った。)
・木造体育館の直接工事費は1億8423万円であり、鉄骨造と比較して屋根架構工事で2700万円コスト高である。鉄骨造に対するコスト面での競争力は弱い。
・建設工事費の地域に直接還元される額は、木造では直接工事費の35%に相当(6370万円)し、鉄骨造と比較して2050万円多く、[su_highlight]体育館の木造化は地域経済に高いプラス効果を生み出す結果となった。[/su_highlight]
・更に地域から生産される木材や、地域の木材加工技術の活用により、地域に対して3億1600万円(直接工事費の1.72倍)の経済波及効果を誘発。鉄骨造の2億4700万円(直接工事費の1.57倍)を凌駕する。
・同時に木造での生産誘発額は、鉄骨造よりも4200万円も多い結果となり、[su_highlight]割安な鉄骨造とコスト差を吸収してもまだ余剰の誘発効果が期待できる。[/su_highlight]
◇モデルプラン(体育館)の仕様◇
用 途 | 公立学校(小・中・高校)の体育館 |
延べ面積 | 1185㎡(アリーナ960㎡、ステージ80㎡、控え室40㎡、供用室105㎡) |
架構形式 | 構造用集成材による架構(スパン30m、桁行き36mの1080㎡) |
備 考 | アリーナはバレーボールコートが2面とれる広さとするが、公式コートについては中央部に1面とれる屋内高さを確保する。 |
<参考・出典>
「こうやって作る木の学校~木材利用の進め方のポイント、工夫事例~」(平成22年5月発行)