よくある質問

お客様からよくある質問をまとめました

集成材についての質問

構造用集成材の歴史は、古いのですか?

日本の社寺建築や城の天守閣等に、何本もの縦通し木材を鉄のたがや鋲でしめて1本の材とし、柱や桁に使われた事例が日本各地にあり、東大寺大仏殿(宝永5年=西暦1708年再建)では、高さ48Mという木造建築の柱に集成工法が見られます。これは現在の定義では「集成材」には含まれませんが、集成材と同様の特長を持つ工法であるといえます。

現在の接着集成材の始まりは、スイスのバーゼルの歌曲大会のための建物であるといわれています。本格的製造はドイツのオットー・ヘッツァーによって20世紀の始め頃に考案されたものと言われています。日本では第二次世界大戦が終了する直前に製造した事例がありましたが、本格化したのは戦後です。当初はユリア樹脂接着剤を使用していましたが、その後接着剤は進化し現在ではレゾシノール樹脂接着剤や水性高分子イソシアネート系樹脂接着剤など、強度と耐久性に優れた接着剤が主に構造材集成材に使用されています。構造用集成材として大型建造物が建築されたのは、1951年に森林記念館が東京に建てられたのが最初だと言われています。

最近では体育館・集会場などの大規模な建造物が数多く造られています。住宅品質確保促進法の施行によって一般住宅の柱や梁にも広く構造用集成材が使われるようになっています。

構造用集成材は、接着部分が剥がれる事はありませんか?

構造用集成材に使用される接着剤は、接着性・耐久性・耐火性に優れたものが研究開発され続けています。現在の構造用集成材にはレゾルシノール系樹脂接着剤や水性高分子イソシアネート系樹脂接着剤、メラミン樹脂接着剤などの耐久性に優れたものがありますが、構造用集成材の接着部は全くといって良いほど剥がれることはありません。

しかし屋外で使用する場合や屋内でもエアコンの冷風をいつも受けている場合など、湿度が急激に変化して木材の含水率が大きく変動すると、木材の収縮に対して接着層が追随できないために接着層付近の表面に「擬似剥離」と言われる現象が、発生する事があります。ただしこれは、接着剤がはがれたものではありません。

構造用集成材は乾燥によって割れる事はありませんか?

木材である構造用集成材は、室内の湿度が高くなると湿気を吸収し、室内の湿度が下がり乾燥すれば、湿気を吐き出すなどの働きをしています。最近の住宅はアルミサッシを使用するため気密性が高くなっています。更に透湿性が少ないビニールクロスを室内に使用することが多く、エアコンなどによる湿度変化が激しく、木材を使用するには厳しい環境になっています。このような住宅ではエアコンによる除湿によって木材を乾燥し過ぎの状態にするため、表面割れが生じる事がしばしばあります。構造用集成材の含水率は15%以下で製造されていますが、エアコンから放出される乾燥した冷風が木材に直接あたると、表面は7%程度まで乾燥するので、乾燥収縮による割れが発生する事があります。これと同様の現象はガラス越しで太陽光線が直接あたる梁などでも発生する事があります。一般に密閉し易い住宅では室内が乾燥し過ぎないように、湿度を調整できる加湿装置などを設置するなど木に対する配慮が望まれます。

集成材の耐久性について説明してください。

構造用集成材に使用される接着剤は十分に高い耐久性があります。例えば、自衛隊の掃海艇は集成材を使った木造船ですが、長年使用した掃海艇を解体して接着性能を検証したところ、接着部での強度低下は全く見られませんでした。海外の古い構造用集成材を使用した木造建築物の調査結果でも、接着剤の強度低下は認められません。構造用集成材の強度低下を防ぐ上では、木材そのものの防虫や防腐の処理を行うなどの適切な保守管理が重要です。

集成材の耐火性能について説明してください。

木材は本来可燃性の材料ですが、実大規模の木造建物の火災実験では、屋根や壁が脱落しても柱や梁が自立して残っていることが多くあります。断面の大きな木材では表面の燃焼部分が炭化層となって内部の燃焼を緩慢にさせる断熱層の働きをし、燃焼速度が一定になることによります。

そのため、建築基準法で構造用集成材・構造用製材を用いて“燃えしろ設計”を行うことが可能です。燃えしろ設計“とは集成材の炭化速度を考慮してあらかじめ炭化消失する深さを定め、それを除いた断面で荷重を支持するように設計することです。

米国のAIYCの資料によりますと、「平均的な建物の火災温度は、約700℃から900℃の範囲であり、230℃を超えると鋼材の強度は急激に減少し、およそ750℃で残存強度は10%となってします。対して、木材は約250℃に達するまで着火せず、着火した場合激しい火災のもとの木材の標準的炭化速度は0.64mm/分である。30分間の火災で構造用集成材は加熱表面からわずか19mmが炭化により損傷するが、断面の大部分が殆ど損傷を受けない。」としています。

日本最大の構造用集成材による建物は、どの程度の規模ですか?

1986年に構造用大断面集成材の日本農林規格が制定され、大断面構造用集成材が普及し始めました。大規模な木造建築では秋田県大館市の「大館樹海ドーム」が我が国最大です。最大スパン178m短辺スパン157m最高高さ52m延べ面積24672㎡と、木造とは思えないほど大きなドームが地元秋田スギによる構造用集成材で建てられています。木材は鉄骨と比べると比重が軽い上に強度が強いという特長があります。この特長を活かす事で最大スパン178mという大きな空間が、雪国でスポーツ施設として活用されているのです。

集成材のJAS規格について教えてください。

集成材のJAS規格には「構造用集成材の日本農林規格」と「集成材の日本農林規格」があります。構造用集成材の日本農林規格は主として構造物の耐力部材として用いられる柱や梁などを対象としており、集成材の日本農林規格は造作用集成材、化粧ばり造作用集成材、化粧ばり構造用集成材を対象にしています。

集成材のはどのような種類がありますか。またどのように使われますか?

構造用集成材

種類定義
大断面集成材短辺が15cm以上、断面積が300c㎡以上のもの
中断面集成材 短辺が7.5cm以上、長辺が15cm以上のもので大断面集成材以外のもの
小断面集成材 短辺が7.5cm未満又は長辺が15cm未満のもの
同一等級構成 構成するひき板の品質が同一のもの
異等級構成 構成するひき板の品質が同一でないもの

集成材

種    類 定    義 利 用 事 例
造作用集成材  ひき板や小角材を集成接着した素地のままの集成材 構造物等の内部造作
化粧ばり造作用集成材  造作用集成材に美観を目的として薄板を貼り付けた集成材
化粧ばり構造用集成材  構造用集成材に美観を目的として薄板を貼り付けた集成材
集成材に使用される樹種はどのようなものがありますか?

柱、梁などの構造用集成材に使用されている樹種は、国産材では、スギ、ヒノキ、カラマツなど、外国産樹種では、ホワイトウッド(ヨーロッパトウヒ)、レッドウッド(欧州アカマツ)、ベイマツなどが主なものです。

             
・ スギ    (Cryptomeria japneca)、杉、椙、
     本州、四国、九州に天然分布し、秋田杉、屋久杉などが有名。吉野飫肥、日田、天竜等全国に有名なスギ人工林地域があり、北海道南部まで人工林が見られる。代表的な我が国の樹種。

・ ヒノキ   (Chamaecyparis obutusa)、檜、桧
      福島県東南部以南の本州、四国、九州に天然分布している。木曽、高野山、高知県西部などに有名天然林。尾鷲、吉野、天竜、和歌山などに人工林地域がある。スギに次ぐ代表的造林樹種。

・ カラマツ  (Larix leptopepis)、落葉松、ラクヨウショウ、
     日本で唯一の落葉針葉樹。本州中部で海抜高1,000m地帯に天然に分布する。北海道から本州中部の寒冷地の重要な造林樹種。

・ ホワイトウッド   (Picea abies)、ドイツトウヒ、ヨーロッパスプルース
         ヨーロッパロシア、ヨーロッパ北部に分布する。樹高30~50mに達する。

・ レッドウッド  (Pinus sylvestris)、欧州アカマツ、ロシアアカマツ
        ヨーロッパからロシアまで広く広く分布する。

・ ベイマツ  (Puseudotsuga menzeiseii)、ベイマツ、ダグラスファー、オレゴンパイン
       北米大陸のカナダ、コロンビア州から米国カリフォルニア州まで分布する。